四柱推命でみる独立の時期とは

ビジネスでの華々しい活躍。男性であればこのような夢を抱くことがあるものです。資本主義の時代にある現代では様々なものの中で「ビジネスの成功」に大きな価値がおかれています。

昔の戦国の世に変わって「経済」という名の戦争が行われています。このような時代にあってビジネスで「勝者」となり、生き残ることはとても大変なことでしょう。激烈な生存競争が行われており、「栄光」と「没落」のプロセスをあらゆるシーンでみることができます。

一時はマスコミをにぎわしていた「時代の寵児」が何かのつまずきをきっかけとして「没落していく姿」をみるとき、私たちは運命の「過酷さ」を実感せずにはいられません。なぜ彼は没落したのか、あらゆる角度からの分析がなされます。しかしそれらは彼を取り巻く状況的なものからの「推測」でしかありません。時代の流れでやむを得なかったとか、その時の大きな判断ミスがあったとかいろいろと分析されます。

ところが本当は誰も「本当の理由」というのはわからないのです。ではそうした現代の戦士ともいえるビジネスマンたちの運命の背後には何があるのでしょうか。成功や没落の背後にはそれを左右するような「要因」があるのでしょうか。

以前、「琉球四柱推命」の「占いカウンセリング」に訪れた男性がいました。その人はある「商事会社」に勤務していましたが、人に使われる仕事が性分に合わないために、その仕事を独立したがっていました。自分で独立して生計を立てたいという夢を描き、そのタイミングを見計らっていました。

「では、その時期を知りたいというわけですね。少し調べてみます」

男性の「基礎データ」をみますと、その時期は「感情機能」がかなり強まっており、対人関係での「障害」が出てくることを暗示しています。

感情は本来、人間関係を「構築する機能」です。その働きには「2種類」あり、一つは人を包容する「共感する感情」で、これが強まる時は人間関係は「良好」になります。その反対の感情機能である人を拒絶する「反感の感情」が強まる場合は人間関係がうまくいきません。その男性は後者のほうである「反感の感情」が強まる時期にありました。

こうした感情の本能が強く作用していれば「人間関係」が円滑に行くわけがありません。おそらく職場において「上司」「先輩」「同僚」と対立して争っていたのでしょう。結局、会社に居づらくなり、「独立」を考えたというわけなのでしょう。その男性は「周期の影響」だけではなく、そうした排他的な「感情本能」をもともと内在させていたために余計に強く作用したと思われます。

深刻に人生を考えている姿をみると少し同情の気持ちがわいてきました。彼のような運命パターンは男性が仕事で「独立するパターン」としては多くみられるものです。仕事そのものは順調であっても、周囲の対人関係での「軋轢」に耐えきれなくなり、独立する人が多いのです。まず彼の運命の流れを確認しておきます。

「仕事を独立しようと思い立ったのは人間関係でのトラブルが原因ですか?」

私は率直に言いました。こうしたことを事前に確認しておく必要があります。それは「占い鑑定」を円滑にするためです。彼は言いました。

「ええ、ある上司とのいさかいがありまして。立場的にも苦しいものがありますから」

予想通りでした。こうした流れを確認することで「現実の運命」と「計算上の予測」が一致することを確認しておきます。最初にこうした照合をしておかないと、後で「生日がずれていた」ということもあるのです。

「あなたの運命的なものからみると独立のタイミングとしてはけっして良いタイミングではありません。可能であればもう少し留まった方が良いとは思うのですが・・。」

実際にその男性の周期的な流れには厳しいものがありました。「反感の感情」がいまだに続いており、当分の間は彼がそうした心の試練を経験しなければならないことを告げていました。

こうした時期に無理に独立しても結局はあとで辛酸をなめることが多いのです。私は時間をかけて彼を説得しようと努めました。ところが彼の感情はすでに「硬化」しており、状況を冷静に考えるゆとりがないように見えました。

「独立が苦しい道でも私は挑戦したいと思います」

彼は男らしくきっぱりと言いました。「そうですか」。彼は結局、独立を選択しました。この「占いカウンセリング」のあとに独立を果たしましたが、その前途は予想通りに「前途多難」なものでした。

独立してすぐに大きな仕事を得る機会を得ましたが、その後は「資金的問題」で行き詰まり、苦しい経営を強いられました。彼の対人的な問題をかかえる「心理構造」に相応するように現実のビジネスが展開していったのです。ただ望みがなかったわけではありません。数年後に「大きな転機」があることを運命は告げていました。実際に彼の運命はその数年後には「好調な時期」に入り、徐々に安定していきました。

ビジネスで「大きな成功」を遂げるには、その基礎となる「実力」「才能」が必要でしょう。さらにそれを開花させる「努力」も必要です。ただそれだけでは大きな成功は望めません。さらにそれを軌道に乗せる「強い運」、言い換えれば「強く柔軟な心理構造」が必要なのです。これらを基礎として運命は展開していきますが、ただ「心理構造」は時間の流れと共に変化していくので「不変」というわけではありません。偶然のようにみえた経済界の「時代の寵児」の突然の転落も、こうした「運命構造」の中で生じるのです。

現実的な「意思」が十分に機能している間は「マルチな才能」が開花し、会社の行く末をみた「健全な判断」ができるでしょう。ただ運命の周期は不変ではないので、必ず時間の流れで「変化」します。人によって異なりますが、長くても良い時期は「20~30年」くらいですから、そうした「安定した周期」が過ぎ去れば「心理構造」に変化が生じ、以前であれば正しく判断できた「業況の分析」や「時代の流れを把握する能力、あるいは「周囲の人を魅了する能力」にも変化が生じ衰えてくるのです。

「ビジネス」-それは多くの男性が野心を抱く対象でもあります。「戦国時代」と違い、命のやり取りをする戦争はなくなりましたが、それに代わる新たな「経済戦争」が始まっているのです。それは「頭脳戦」でもあり、あらゆる「才能」「能力」「意志力」、さらには「運の強さ」が試される「舞台」です。世界中の多くの人がこの「経済戦争」に参加しており、さまざまな形でその栄光と挫折を味わっています。

「運命の世界」は人を競争に駆り立てることによって、そこから「人間関係」の大切さ、自分の「役割を果たす」ことの重要さ、そして「大きなビジョンをもつ大切さ」「苦しくても諦めない強い心」を養っていきます。怠けたがる人の尻を叩き、子供から大人へと人間の「魂」を成長させていくのです。

私たちはこうした「運命構造」のなかでこそ成長していきます。ですからビジネスに「失敗しても」人生は終わりではありませんし、それは「新たな舞台」の始まりに過ぎないのです。「勝者」は永遠ではありませんし、「敗者」も永遠に敗者ではありません。運命は常にその「役割を」入れ替えて、人にそのエッセンスを学ばせていくのです。


 

 

2019年10月15日