四柱推命でみる加害者の運命

思いもせぬ突発的な「事故」ーもし、あたながその「加害者」であったらどうしますか。

遺族への「謝罪」や世間からの冷たい「逆風」など、事故の「加害者」に対する制裁は厳しいものがあります。それが「意図的な行為」ではないにもかかわらず、「加害者」は犯罪者のような扱いを受けることもあるのです。

「自分はこれからどうすればよいのでしょうか」

ある若い女性は気落ちした表情で語りました。険しい顔に元気のない声。それは彼女の置かれた苦しい運命の状況を表していました。「まさか、あんなことになるなんて」

彼女は車の運転中に人を「撥ねていた」のです。交通事故の「加害者」でした。近いうちに「裁判」があるといいます。彼女はその状況から逃れたがっているようでした。彼女の話す「憂鬱な言葉」の中にそうした切迫した想いが秘められていました。「被害者」の未来を心配しているようにも見えましたが、それ以上に「自分の未来」を心配しているようでした。

私は言いました。「それであなたは自分の運命がどうなっているのかを知りたいというわけですね。わかりました」

私もこんな事例は初めてです。いったい彼女に何が起きたのでしょうか。事故は「偶然の産物」なのか、あるいは何か「運命的な背景」があるのか。彼女の運命の「状態を」まず調べてみる必要があります。「心理分析」から始めるのが通例です。彼女の「心理構造」は特に珍しいものではありませんでした。

「心理図」をみると「自我」「知性」に偏っているタイプです。この図で「知性」に偏る人は物事をクヨクヨと考える人ですが、「知性的な面」に多くのエネルギーが流れるために、相対的に身「体能力」は鈍くなることがあります。要するには「運動能力」「反射神経」が鈍くなる傾向があるのです。ただそれだけで事故の「原因」を断定するわけにはいきません。

次に彼女の「自我タイプ」が「水元素」であることに注目しました。このタイプは「水」の性質上、頭がよく回転する人になりますが、反面、現実の「即応性が過剰」になる場合もあって、そのような場合はいわゆる「お調子者タイプ」になることがあります。つまり「自分の都合」で物事を判断したり、あるいは自分の「感覚」や「考え」だけで物事を柔軟に解釈するタイプです。

こうしたいわゆる「お調子者タイプ」の人は「交通ルール」を厳しく守らねばならない「車の運転者」にとっては、時に「危険な存在」になることも多いのです。

たとえば自分が急いでいれば平気で「信号無視」をしたり、「スピード違反」をしたりするでしょう。また時には「標識」を無視したり、それを「自分流」に解釈したりします。これらは「柔軟性の悪い見本」ともいえます。こうした交通マナーの無視はいずれ「事故」につながる大きな「危険性」を秘めています。事故につながる「原因」からいうと、たしかに彼女の「心理構造」の中にも存在したようです。

「事故は軽率なミスから生じたのではありませんか?」

私が彼女に問いかけると、彼女はこくりと肯きました。やはり事故の「直接的な原因」は彼女の心的なものにありました。彼女の「自己本位」な運転が「事故」を引き起こしていたのです。

しかし「加害者」である彼女よりも辛いのは「被害者」のほうでしょう。ある日突然に奈落の底に突き落とされた「被害者」の心情は察して余りあるものです。また家族などがいれば、その苦痛も「倍増」するでしょう。私は言いました。

「あなたに責任があるとはいえ、事故を起こした事実はどうしようもありません。今後どうすればよいのかを考えてみましょう」

事故はすでに起きてしまったことです。今さら彼女の「心理構造」や「態度の問題」をいってもどうしようもありません。問題は彼女が今後はどうすればよいのかということに集約されるでしょう。彼女は言いました。

「私はこの後どうすればよいのでしょうか」

彼女は自分の今後のことばかり気にかけていました。「問題」が起きてしまったことは仕方がない、ではどうすればよいのかという考え方はとても「現実的」で「柔軟な考え方」といえるでしょう。しかしまさにそうした彼女の「心的態度」が今回の事件を引き起こしていたのです。矛盾して笑うに笑えない状況に私も苦しいものがありました。

「あなたの現在と未来の運命の変化を読んでみましょう」

私はそう言うと、彼女の「基礎データ」を見ながら解釈していきました。彼女の「周期変化」をみると、ここ数か月の間に大きく変化していることがわかります。そしてその意味するものは今回の「事故を暗示する」ものがありました。

つまり今回の事故が偶然の産物ではなく、「カルマ的な背景」をもつものであることがわかりました。私は彼女の「心理構造」に原因の本質があると予測していましたが、そうではないことを彼女の運命は告げていました。

彼女の「潜在記憶」の中にとても「自己本位」でわがままな心理が宿っていました。それは彼女の「前世の姿」そのものでしょう。調子のよい「八方美人的な人」であり、かなり自己本位で「軽薄な人生」を送ってきたことが予測されます。

こうした性格は他人から見た場合にあまり好ましいものではありません。そのために本人が知らずとも他人からいろんなことで「恨まれている」ことが多いものです。そうした他人の「恨み」や「怒り」の想念は、それを向けた相手に必ず「届く」という一つの「運命法則」があります。現代人はこうした法則を信じませんが、運命の世界を学ぶものには疑えない事実なのです。

「あなたの運命の中に今回の事故を示唆するような法則的な特徴が出ています。それはあなたの潜在的なものに関連しており、そのネガティブな働きによってあなたは苦しい状況に動かされているようです」

彼女の「周期変化」は彼女の「心理構造」の在り方を変化させ、外部からの攻撃的な作用に対して「無防備な状態」を作り出していました。

それは運命的に見た場合、非常に「危険な状態」といえるでしょう。彼女に対する「他人の怒り」や「恨み」が彼女の心理の中に直接的に「侵入」してくるのです。メンタルな次元にある「防衛線」が破壊され、様々な「他人の想念」が自分の意識の中に流れ込んでくるのです。それは彼女の健全な「精神作用」を壊し、彼女の情緒を不安定にして運命を「苦しいもの」にしていきます。

彼女は性格的な「欠陥」から多くの人に恨まれていました。通常の状態であれば、こうした他人の想念も「理性の防衛機能」によりその「干渉」を防ぐことができます。しかし彼女の「周期変化」により意識内部が「混乱」をきたしているため、健全な「防衛機能」がマヒして機能しなくなっているのです。

そのために外部からの「悪意」なども彼女の「心理の中」に侵入してきます。その影響が強ければ、彼女は「精神の病」になっていたことでしょう。ただ彼女は「楽観的」な性格であるために病気の方向には向かいませんでした。

ただその心理構造の中に侵入してくる「悪意の想念」は、彼女の運命を「苦しい方向」に持って行こうとするでしょう。たとえば彼女を「事件」や「事故」に遭わせるかもしれません。あるいは彼女自身が事件や事故を起こすように仕向けるでしょう。

また周囲の人に「敵対意識」を持たせたり、「悪意の念」を持たせたりします。それによって家族を「仲違い」させたり、仕事で彼女を「孤立」させたりするでしょう。今回の「事故」もそうした背景の中で生じた可能性が高いのです。彼女の「運命パターン」はそうした「運命の影」があることを告げていたのです。そこで私は言いました。

「あなたは自分のことばかり心配せずに被害者の立場にたって誠心誠意償わねばなりません。あなたが真剣に努力するならば、その想いはきっと相手にも届くでしょう」

彼女は自分のことばかりを心配していました。そうした態度はきっと相手にも届くことでしょう。「被害者」の相手はそんな彼女を許すわけがありません。彼女はまた人の「恨み」を一つ積み上げたのです。それは彼女の未来の運命をさらに「苦しいもの」にしていくでしょう。彼女はそろそろ自分に「甘い心理」に気づかねばならないのです。

今回の事件は彼女のこうした「深層心理」が作り出した「運命の試練」といえるでしょう。彼女が「被害者意識」をもち、相手に誠意のある「償い」をせずに、この状況を逃れようとするならば、未来において再び「同じような事」件が生じることでしょう。「心の影」は時空を飛び越えて、どこまでもついてくるのです。彼女がその「影」と正面から対峙して生きないかぎり、それはけっして無くならないのです。

それは「簡単なもの」ではありません。彼女がそれをやり遂げるにはまだまだ長い時間がかかるでしょう。ただ確実に言えるのは、彼女がそうした試練の道のりを歩み始めたということです。いつの日か彼女が自己の「正しい運命」を知ることを私は願いました。


 

 

2019年10月23日