前世からくる病気とは

「病」は気からとよく言われます。人は気持ちが病んでいると、病気にかかることが多くなります。病気は誰にでもやってくるものですが、「琉球四柱推命」でも病気が発生する心理メカニズムを解明しつつあります。

 

特に「うつ病」や「統合失調症」などの心の病は、明らかに人の「周期リズム」と深い関係にあることがわかってきました。ただ病気の分析で一番難しいのは、その「因果関係」を正確に把握することです。深層心理の「心的」エネルギーの変化が、どのようにしてその人の「身体」に結果を生じるのかを正しく分析しなければなりません。

病気にかかる「原因」は人によって様々でしょう。単にその人の「生活習慣」に根差すものがありますし、「ウイルス」などの外部に由来するものもあります。現代の医学でさえ原因のすべてを把握しているわけではありませんが、ただ「琉球四柱推命」の研究において気づいたのは、多くの病気は「深層心理」の中に原因があるということです。

たとえば四柱推命で「食神」という心理作用がありますが、この食神の作用が強い人は「共感機能」が強いために「食べたり」「飲んだり」することが好きになります。その結果として「肥満」につながり「生活習慣病」に陥りやすくなります。

ほかにも「無理」が過ぎて「過労」から病気やケガにつながる「偏官」という心理作用があります。また身体機能そのものが弱る「偏印」という作用もあります。これらは四柱推命の研究者にはよく知られた事実ですが、「琉球四柱推命」においては、さらにこうした作用以外にも「前世」に起因する病気の原因があることを発見しています。

以前、「琉球四柱推命」の「占いカウンセリング」に長いこと「心の病気」に煩わされている人がやってきました。一人では歩けないほど「衰弱」しており、姉に付き添われてやってきました。年のころは40代でしょうか。女性の人で見るも可哀そうなくらいに痩せています。青白い顔をしており、頬がこけて目の下にはクマができていました。

「先生、私の運命はどうなっているのでしょうか」

絞るようなか細い声で彼女は言いました。四柱推命の「基礎データ」をみると、彼女の運命は特別変わったものではありませんでした。やや心理的な偏りがあるものの、ほかの人と大きく変わっているわけではありません。

現代心理学などでいわれるように幼少期の「トラウマ」でもあるのかと思い尋ねました。

「この病気はいつ頃からですか。生まれた時から、つまり先天的なものですか」

彼女は気だるそうに答えます。「生まれつきではありません。でも、もう長いこと患っています」

では、その原因はどこにあるのでしょうか。私は言いました。「幼少期に何か病気の原因で思い当たることはありませんか」

彼女は思い当たることは何もないと言いました。

彼女の病気は心理的な「病」です。なにも原因がなくて、そのような病気になることはないでしょう。私は彼女の「基礎データ」をさらに細かくみて、「心理図」や「周期図」を分析していきました。すると彼女の周期図が20代くらいに大きく変化していることに気づきました。よくみると、この時期を境にして彼女の深層心理のバランスが大きく崩れて危険な状態になることを告げていました。

「もしかして病気の始まりは二十代の半ば頃ではないですか」「ちょうど〇〇年くらいから非常に不安定な時期に入っています」

彼女は少し考え込むようにしていました。しかし彼女よりも早く姉の方が先に応えました。

「〇〇ちゃん、確かにその頃やないか。ほら、当たっているじゃない」

姉はびっくりしたような顔で妹を見ています。

「うん、たしかにその頃やと思う」

その答えを聞いてはっきりしました。「病気の原因がわかりました。この病気は〇〇さんの潜在的な心理に原因を持っています」

彼女の病気の原因は潜在的な「記憶」の中に眠っていました。それは彼女の前世の「否定的な過去」の記憶です。具体的にいえば「怒り」「嫉妬」「悲しみ」「憎しみ」などのマイナス想念です。

彼女の「深層心理」の奥深くにそうした過去の「負の記憶」が充満していたのです。それが20代の周期が変わった時点で抑えきれなくなり、意識の上にその否定的な記憶が「浮上」してきたのです。このような病気のパターンは多くの人に見出すことができます。四柱推命の「基礎データ」の中にもそうした周期パターンが出ていました。

「あなたは以前の人生において長い間、否定的な心理状態で過ごしてきました」「そうした心の不調和が現在の病気を作り出しています」

彼女は最初、その意味が呑み込めないようでした。それは仕方ありません。はるか遠い昔の記憶にない話をしているのですから、無理もありません。ただ私にとっては運命の研究から導き出された結論なので、彼女にそのことをしっかりと認識させねばなりません。それは二度と同じ過ちを犯させないために必要なことなのです。

「人は人生で多くの過ちを犯します」「ですから人は互いにその過ちを許さねばなりません」「恨み、憎しみ、怒り、嫉妬などの悪想念は他人のみならず、自分自身の人生も破壊的なものにしてしまいますよ」

彼女は心の奥深くでどこか共感しているようでした。長い期間、まったく理由もわからずに悩んできたのですから、はっきりとは理解できずとも、何か「光明」に触れたように高揚した感じが伝わってきました。そばにいる姉も喜んでいました。

「原因がわかってよかったな。今日は頑張ってきて正解でした」

姉妹は顔を合わせて喜んでいます。私はさらに続けました。「〇〇さんの大きな周期の流れは近いうちに変化を始めます」「来年あたりが最後の山場になるでしょう。それ以降は急速に回復に向かうと思います」

それを聞いたときの2人の表情は今でもはっきりと目に焼き付いています。もう一生治らないと諦めていたのでしょう。しかし今日をさかいに大きな希望を持つことができたようです。

彼女のような病気は特殊な事例ではありません。誰でも様々な理由から否定的な悪感情、つまり嫉妬、怒り、憎しみなどの感情を抱きます。その感情がそのときに発散されてなくなると多くの人は考えています。ただそれは全くの誤解なのです。

そうした感情の記憶は潜在意識の中に「負の感情」として宿っています。それは生涯にわたり消えてなくなることはありません。たとえば催眠術にかけて過去に「退行」すると、今では完全に忘れ去っている過去の出来事を「鮮明」に思い出すことができます。こうした事実から人間の潜在意識の中には生まれた時から現在に至るまでの「すべての記憶」が残っていると考えられるのです。

「琉球四柱推命」ではこの考えをさらに押し進めます。それは幼少期の記憶だけではありません。それはさらに以前の人生、つまり「前世」と呼ばれる領域にも及ぶのです。運命の研究からこうした事実があることをつかんできました。現在では「いつ頃」それが出現するのか、どのような形になって「出てくる」のかというレベルまで研究が進んでいます。

現在の環境の中で説明のつかない病気の多くは、その人の「前世」に原因があることが多いものです。それは生まれた時からその人の深層心理の中に「潜在記憶」として眠っていますが、運命の周期的な時間の中でその記憶が呼び覚まされ、現在の意識の上に登ってきます。するとその人は何の原因がなくても意識に「障害」が起きます。原因不明の「妄想」に悩まされたり、抑えきれない「怒り」に支配されたり、大きな「悲しみ」「不安」に襲われたりします。

ただ多くの人はその原因が自分の「過去」にあることを知らないので、突然の変化に家族を巻き込んで大騒ぎとなるのです。

その原因を知るために医者にかかりますが、潜在世界で生じていることなので本当の「原因」がわかることもありません。また「祟り」だと勘違いして「お祓い」などをする人もいますが、原因が祟りではなく本人自身の「心の問題」ですから、これでも治ることはありません。結局、原因を知ることなく多くの人は諦めてしまいます。

ただ多くの人の場合は時間の変化の中で元に戻ることも多いといえます。ただ病気が治ったとしても本当の「原因」を知らない限り、また同じ過ちを繰り返すことになるでしょう。それが一番の「問題」なのです。

どんな人にもその人の心の「弱点」のような部分があり、それを原因として人は同じ過ちを何度も繰り返すものです。それはその人が自身の欠点に気づき修正するように懸命に努力しない限り、治るはずもありません。ですから原因そのものを知ることが最も大事なことだと言えるでしょう。

「琉球四柱推命」で扱っている深層心理の法則は、将来、心理学の分野に組み込まれていく可能性があります。またこうした研究が現代でも原因不明とされている病気を解明する糸口にもなるでしょう。できればこれにより多くの人に恩恵が至ることを願うばかりです。


 

 

2019年09月24日